「レオナール・フジタ 私のパリ、私のアトリエ」@ポーラ美術館

えー、なんと一年以上ぶりのポーラ美術館行きです。本当は8月か9月に行く予定でしたが、会期延長のお知らせが来ていたので後回しにしたところ、この時期になってしまいました。12月以降は寒くて行く気が失せるので、なんとか駆け込みでっていうところです。


藤田展というと数年前に竹橋の国立近代美術館で大きな展覧会があってそれには行きましたけど、それ以後は藤田単独の展覧会を見るのは初めてでしたので、なかなか楽しみにしておりました。

今回の展覧会の目玉の一つは、藤田の絵の技法を科学的に分析した結果を発表したことです。「乳白色のマチエール」を表現するためにどんな下地の塗り方をしていたかを分析・発表していまして、シッカロールを混ぜていただの、戦時中で物資不足の折にはジンクホワイトさえ使っていただの(ジンクホワイトはひび割れるので下地には普通使いません)と、興味深い報告が成されていました。いつも思ってるんだけど、蛍光X線装置ってすごいですよな。

そして、もう一つの目玉は、ファイバーボードに描かれた「子供の職人」画の大幅な新蔵です。「子供の職人」画は以前から何枚か持っていたわけですが、そこに60数枚買い足して、その結果、藤田の絵の収蔵数が倍になったみたいです。立派と言えば立派なんですけど、それで収蔵数が倍になったと言われると、ちょっと水増し感が無きにしもあらずかとw

先日、某QMAプレイヤーさんと話をしていた時に、「藤田に超有名作品はあるか?」と尋ねられまして、その時に「たぶん無い」と答えました。有名作品が無いというのはちょっと語弊があるんですけど、誰でもタイトルを知っている、あるいは見たことがあると言い切れるような作品ってたぶん無いと思うのです。でも、「乳白色のマチエール」と呼ばれる色遣い、猫・裸婦・子供のモチーフ、そして戦争絵画のことは広く知られていますよね。藤田ってそういう画家だと思うので、今回の展示は「乳白色のマチエール」の謎を解明しただけでもう十分な意義があったかなと。


常設展示の方は、日本人画家の絵をメインに見てきました。最近、日本近代美術史についてわりと真面目に勉強しているので、今回からは流し見はやめようとw もっとも、日本近代美術史って難しいんですよねー。画壇が紛糾・分裂しまくってケイオスなせいで、もう何がなにやらw しかも、その原因は黒田清輝によるところが大きいんですよね。パリで黒田先生ご指定の絵の具箱を窓から投げ捨てることでその呪縛から逃れた藤田は幸せだったんじゃないかと思いますw


鑑賞後はご飯。企画展メニューを食べようと思ったのですが、お腹が空いていたので別のにしましたw 食事後は直帰。当初はラリックにでも寄っていくつもりでしたけど、やっぱりこの時期は日暮れが早いですね。日帰りでハシゴしようと思ったら夏じゃなきゃ駄目だなあ。


次回はまた印象派展ですね。今度は夏に行きますよw