2013冬アニメ総括

今年最初のアニメ総括です。例によって、タイトル横の()内は主観的評価です。


ラブライブ!(○)
アイドル物ですがアマチュアの「スクールアイドル」ということで、芸能界物ではなく部活物です。とにかく、よく歌ってよく踊るなー、と。真姫ちゃんの驚異的な作曲ペースが素晴らしいw ビジュアル面では、女子しか出ないアニメのキャラデザと総作画監督西田亜沙子を持ってきた時点で約束された勝利の剣。無敵に素敵。キャラ作りはあざとそうに見えてなにげにネタ臭が強いので、湿り気があまりありません。前半は「にっこにっこに〜」、後半は「ハラショー」が全部持っていきましたし。というか、μ's加入後のエリーチカはキャラが崩れ過ぎだから! それに、ハラショーの使い方間違ってるから!

脚本に関しては終盤の「鬱展開やめて!」みたいな声をTwitterでよく見かけましたね。あれくらいで鬱展開呼ばわりってゆとりにも程があると言いたくなりますが、ラスト1話で収拾がつくのかな?とは思いましたね。そして、収拾はつきましたけど、相当な力業でした。まあ、オチ自体はASねえさんの

というコメントの通りなのでしょう。ただ、明らかに尺は足りてないですw

余談ですが、初見評の時に「ラブライブ!の事は以前から知っていたけど、作品に実際に触れるのは初めて」と書きましたけど、あれは間違いです。実際には、TwitterでのASねえさんの宣伝に釣られて第1回総選挙に投票しています。見た目で真姫ちゃんにねーw

アイドル物としてはアイマスよりも好きです。アイマスはなんだかんだ言ってほとんどお金を落としてこなかったんですけど、ラブライブ!にはちょっとずつ貢いでます。AKB0048は知りませんw


たまこまーけっと(○)
初見で述べたように、京アニ風現代版(チンプイGu-Guガンモ)。ぱっと見は今風ですけど、根っこの部分が昭和のアニメっぽい。『けいおん!』のゆるさとはまたちょっと違いますね。

終わってみての感想は、これも明らかに尺が足りていない。1クールで終わらせるならばGu-Guガンモパートだけにすべきで、チンプイパートは要らなかったです。逆に、チンプイパートをきちんと消化するつもりならば、2クール以上はかけるべきでした。それを1クールで両方詰め込んだものだから、最終回でチンプイパートがぎゅうぎゅう詰めになって、なんだか尻つぼみな終わり方になってしまいました。10話くらいまでせっかく面白かったのに、最終的には竜頭蛇尾な印象が残って評価を下げてしまったかなと。


ヤマノススメ(△)
可愛かったですね。でも、空気でしたね。山ガールというコンセプトは良かったですけど、5分枠・週1・1クールって無理があり過ぎでしょ。5分枠なら平日毎日とか、週1なら15分枠とか、もうちょっと時間をかけないと印象が残らない。


まんがーる!(×)
ヤマノススメ』と同じく空気。違うのは、こちらは全く面白くないという点。最終回はメタ過ぎたし、完全に新人声優ステマ駒形友梨の声は嫌いじゃなかったけど、それ以外に何も言うことは無いです。


gdgd妖精s(△)
アニパロ・ネットネタ・大喜利。笑いのツボが合うならば楽しめただろうし、そうでなければ即切りでしょう。個人的にはアニパロやネットネタは最後まで楽しめました。大喜利の部分(アフレ湖とか)は後半に入ってからしょーもなくなっていったと思います。いずれにしろ、録画や銀盤で観るようなものじゃないですわね。リアルタイムで観て、ついでに実況なんかしてナンボかと。


閃乱カグラ(△)
○に近い△。あるいは△に近い○。序盤はセクシュアルなネタやパロディをちりばめたよくあるネタ系かなと思っていたのですが、中盤以降でかなり印象が変わりました。B級映画のノリを維持しつつ、展開が完全にバトル物の王道展開。ベタといえばベタなんですけど、王道展開のバトル物っていうのはアツさと勢いでどれだけ押し切れるかが鍵なわけです。その点、この作品は終盤で一気に盛り上げることが出来たなーと。『戦姫絶唱シンフォギア』なんかと同じですね。原作(ゲーム)の展開と同様に2期につなげられるラストでしたし、上手く幕を引くことが出来たんじゃないかと思います。

それと、セクシュアルなネタと言いましたけど、このアニメっておっぱい枠なのに、ほとんどエロスを感じないです。キャラデザが案外骨太でマッシヴだったのと、シモネタを渇いた笑いとしてきちんと消化していたからじゃないでしょうかね。まあ、これは私の感覚なので、PLAYBOY誌(週プレじゃない方)のプレイメイトに(;´Д`)ハァハァ出来るタイプの人だとまた違った感想になるかもしれませんがw

蛇女の5人が好きだったなー。蛇女EDは反則でしょw


PSYCHO-PASS(○)
ノイタミナにおける『ギルティクラウン』のBADイメージを重ねつつ観始めた本作は、終わってみれば非常に良くまとまった良作でした。作品全体に漂う中二臭は相当なものでしたが、主人公である朱ちゃん中二病ではない……というよりもリアリストだったために引き締まったわけです。本作では男性キャラ陣と女性キャラ陣のスタンスが見事なくらいに相反するもので、男たちは理念や浪漫を追い求め(その結果、ある者は死に、ある者はアウトローとなり、またある者は走狗となった)、女たちは現実を見据えたまま世は全て事も無し。斯くして、中二病ロマンチストの男とリアリストの女という実に鮮やかなコントラストが描けていたように思います。

脚本的には半分予想通り、半分予想外。免罪体質の朱ちゃんがシビュラシステムに取り込まれるという展開は予想通り。強制的に取りこまれるのではなく自分の意思で共存を選ぶという展開は予想外。ただ、いずれにしても予想を大幅に超えるという展開ではなかったので、その意味では小粒感があったかな。と言っても、まどマギとかと比べてのことなので、本作自体のマイナスポイントというわけではないです。

最終回の後で第2期きぼんぬな声をTwitterでけっこう見かけましたけど、これってそういう類の作品ではないでしょう。「恒常性」というのがおそらく本作のテーマの一つだと思うわけで、続きを描くことには意味が無いだろうと。最近は二言目には続編続編って言う人がいるけど、何でもかんでも続ければいいというわけではない。スピンオフや外伝は有りですけどね。

天野明によるキャラデザは実に好ましかったです。朱ちゃんが直球ど真ん中ストライクでしたw


ジョジョの奇妙な冒険(○)
ド安定のジョジョ。一番面白い第1部と第2部のアニメ化なので面白いに決まってます。

個人的にはジョジョは第1部と第2部が至高で、第3部以降はあまり好きじゃないです。なんでかと言うと、幽波紋(スタンド)に違和感があるから。波紋法って本来は体術なわけです。体術であるが故に、訓練によって磨かれ、身体能力の向上によって強化でき、肉体がダメージを受けることで封じられるという弱点を持ち、格闘との相乗効果で威力を発揮するわけです。これに対して幽波紋は超能力の部類なわけで。それってもう作品のコンセプトが全然違うよねって思うわけです。第3部以降は別物としてみれば良く出来た作品なんでしょうけど、自分の中でのジョジョとは違うんだよっていう。『イース』『イースII』と『ワンダラーズ・フロム・イース』みたいな感覚ですかね。

展開はほぼ原作通り。尺的に多少のカットはあるものの、それをほとんど感じさせません。演出面では映像の利点を活かして、原作以上の描写もしばしば見かけました。特に、シーザーが死ぬシーンの、射し込む外光、十字架型の落盤、ゴスペルという演出は素晴らしかったなと。

主題歌はアツクテシヌゼですね。特に第1部の「ジョジョ 〜その血の運命〜」が。漢のアニソンたるものタイトルコールの連呼くらいはしないとね! あとはあれです、おぢさん声優率の高さがマルっ! (*^ー゚)σ○ 塩屋翼飛田展男大塚明夫井上和彦(少し若いけど藤原啓治子安武人も)とか、今時どンだけ暑苦しいんだっていうw


ビビッドレッド・オペレーション(×)
お尻アニメですね。監督は尻を描きたかっただけでしょ、これw ほとんどのカットにおいてカメラ移動の始点が尻からというね。

まあそれはいいんですけど、中身がgdgd。今季の「製作スタッフに釣られて観てみたけど時間の無駄でした」大賞。全体の雰囲気としては(ストパンプリキュア)×エヴァかな。随所に漂うエヴァ臭が個人的にはかなり目障り。それはさておき、A級戦犯は脚本で、とりわけ終盤の展開が酷い。これほど薄っぺらいクライマックスのアニメは久しぶりに観ました。展開自体は王道展開なんですけど、ラスボスに思想やポリシーが無くてその場の脊髄反射で暴れているだけなので、まるで盛り上がらない。しかも、オチが超ご都合主義。アツくなれない王道展開なんて単なるワンパターンです。ワンパターンでもご都合主義でも作品にパワーがあればそれで押し切れるんですけど(上記の『閃乱カグラ』がそう。もっと言うと、週刊少年ジャンプ黄金期の漫画とかみんなそうでしょ?)、ビビドレはそれが出来ていませんね〜。

ビジュアル面はまあ良かったですよ。キャラデザと作画は。でも、それがキャラの魅力につながっているかはまた別問題。私はビビドレのキャラには全く魅力を感じませんでした。キャラ立てしつつもキャラを前面に押し出さなかったガルパンや、キャラを前面に押し出しながらもネタとして昇華していたカグラに比べると、ビビドレのキャラはあざとすぎて押しつけがましい。ある種の気持ち悪さを感じるまである。

そんなわけで、本作については評価ポイント皆無。薄い本は捗ると思うけど、私がそれらを買うことはないでしょう。


ガールズ&パンツァー 11&12話(◎)
3ヶ月遅れでOAされたガルパンのラスト2話。スケジュール遅れについては監督が関係各位に焼き土下座したことでしょうからここで改めて批判することはしませんが、仕上がってきたラスト2話は3ヶ月の遅れを赦せるだけの完成度でした。

観ていて一番驚いたのは黒森峰の部隊構成。隊長、副隊長クラスがティーガーで残りはパンターとかそんな感じだと予想してたんです。それでも、ポルシェティーガーを加えても8輛しかない大洗女子に対して20輛のティーガーパンター軍団は質・量ともに桁違いに圧倒的なわけで、それで十分に無理ゲーからの一発逆転だろうと。ところが、蓋を開けてみたらティーガーIIやヤクトパンターどころか、ヤクトティーガー、エレファント、果てはマウスまで登場とか。3ヶ月前の時点ではエレファントなんてどうせ出ないよって言ってたのに、実際にはエレファントどころじゃねえw

そして、ラストの市街地戦〜フラッグ車戦のアツさ! 大洗女子の初陣にして敗戦であった聖グロリアーナ戦と同じ展開に持ち込みつつ、チーム力の向上によって正反対の結果を出して見せたリベンジっぷり! なにこの友情・努力・勝利の方程式w OA後に読んだメガミマガジンに掲載されている脚本担当の吉田玲子のコメントによると、当初は大洗女子が優勝する予定ではなかったそうです。よく勝たせられたなー、とか言ってますねw まあ、そらそうだ。どうやったらIV号戦車(マークIVスペシャル)、III突、P虎、ヘッツァー、八九式、三式、B1bis、M3で勝てるんだよっていうw とにかく、ドイツ戦車の大見本市でしたねw

なお、ガルパンについては日を改めてあらためてレビューを書いてみたいと思います。それだけの価値はある。でも、2期は要らないよ。12話で全て出し尽くしてるからね。外伝やスピンオフは歓迎。


今季は、一部ハズレはあったものの、大豊作と言っていい状況でした。そして、その中に(と言うよりもそもそも観ていた中に)ラノベ原作のものが一つも無いというのはいささか皮肉めいた結果になっています。ラノベの全てがダメとは思いませんが、以前に比べて粗製濫造率が圧倒的に高くなっていることは否定出来ないでしょう。そして、それらは1クールアニメの大量製作と結びつき(あるいははじめからそのための原作供給を目的として書かれ)、ステロタイプのハーレムアニメを量産する結果となっています。

  ラノベ原作のアニメは視聴予定から外す方向でいけ

これが最近の私の視聴アニメ選択の大きな指標です。この指標を撤回するような状況に好転することを願うと同時に、オリジナルの秀作アニメがもっともっと増えていけばそっちの方がいいなーと思っています。