お塩先生の件ですが、保護責任者遺棄罪止まりで、同致死罪の成立は否定されましたな。ニュースで見た限りで言うと、検察・弁護人双方の用意した鑑定人意思の判断が完全に割れていることが決め手となっているようです。平成元年の最高裁決定(最決平元・12・15)は覚せい剤の注射による死亡事案において「十中八九同女の救命が可能であった」として因果関係を肯定して保護責任者遺棄致死罪を成立させていますが、今回の件がそのような場合には当たりません。

そして、平成15年の札幌地裁判決や今回の判決に鑑みるに、裁判所は、致死の因果関係を肯定するためには、救命の可能性についてかなり高いものを要求する傾向にあると言えるのではないかと思います。